2018年を象徴するダンスフロアの思い出は？

LYZZAに教えてもらって行ったロンドンのレイヴでAriana Grandeの"no tears left to cry"を聴いたときかな。ラインナップにはMica LeviとCõvcoもいたけど、残念ながら到着したときにはもう終わっていて聴けなかった。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

アムステルダム内や周辺では大規模フェスがとても盛んだ。3月から11月くらいまで、ずっとなにかしらフェスをやってるし、フェスの独占契約や予算設定のせいで色々とやりづらいことになってる。特に、うちよりもキャパの小さいクラブとかは大変そうだ。しかしシーンの活気を保つためには小さなクラブも必要だし、5、10ユーロくらい払って素晴らしいDJを聞くことができる場所があるのは重要なことだ。ビッグ・フェスの人たちにもその辺のことを少しは考えて欲しいね。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

The Rest Is NoiseでBen VinceとCoby Seyが即興セッションをやってるのを見たが、ああいうジャズなら大好きだ。"シーン"と呼べるほどではないのかもしれないけど、共通するものを感じるアーティストが何人かいるんだ。Mica Levi、Tirzah、Ben Vince、Rupert Clervaux、Klein、Coby Seyとか。彼らの音楽はとてもフレッシュで最高だ。

2018年を象徴するダンスフロアの思い出は？

私にとってとても重要な一年だったので、これは答えるのが難しい！でもやっぱりSónarかな。あれは私にとって初めての大きなギグで、お客さんもたくさんいたからね。大きなステージでプレイしていて、ちゃんと人々の心に響いてるといいけど、って願うばかりだった。でも、ステージから降りると、すぐに色んな人からポジティブな反応を受けることができて安心した。私の大好きな音楽のおかげでスペインからブラジル、日本まで遠く離れた人々と繋がることができて、私はとても興奮してるし心から驚いてる。本当、凄いよ。

あと、Nyege Nyege 2018のパーティーが成功して本当に良かった。Boiler Room x Nyege Nyegeで、ウガンダのダンスフロアの多様で楽しい一面が多くの人に伝わったと思うし、ヨーロッパ各地のクラブやパーティーでこのレーベルの影響が現れてることを聞いて、すごく嬉しいね。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

ツアー生活に慣れるのが大変だった。恥ずかしい機材トラブルだとか、変な感じになっちゃったセットとか、それなりに失敗も経験したけど、様々な国でプレイする機会をもらっていることがありがたくて、不発に終わったときだって勝ち誇った気分になったよ。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

最近はセントルシアのクドゥーロにハマってて、FreezyやBlackboyあたりをヘビロテしてる。

2018年を象徴するダンスフロアの思い出は？

Saturnalia Festivalで、Macaoの地下室を通って重いビール樽を貯蔵庫から出していたとき。DJ BalliとScudのB2Bのセットから意識がぼんやりしていて、ガーデンに出てArcangeloとSerena Butlerが優しく提供する朝の狂気的な時間をゆっくり味わってた。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

去年、私は自分の日々の生活の中で、女性として、人権と女性の権利のために闘う存在でいる必要があると自覚した。Macaoでやっていること全てがそれを意味している。リサーチ、クィアラボ、イベント、コミュニケーションなどの中で生まれるアイデアを、自分の生活や日々の仕事に取り入れている。AIシステムの開発・検査をしている韓国の企業で働いているんだけど、Siriみたいなモバイルパーソナルアシスタントの、イタリア語版の仕事に携わっていて。そのシステムは最初"ゲイ”や"レズビアン"といったワードを書けなかった。"私はレズビアン"と言うと、"私は..."という具合だった。そうしたワードはブラックリストに載っていたんだけど、何故？それはおかしいと思ったの。そしてデベロッパーと1ヶ月話し合いを続けて、そのワードは使えるようになった。私にとってそれは、普段の生活や仕事の中でもアクティビストになれることを示した初めての達成だった。物事に対する闘いは日々のアプローチ。けれど丁寧にね。なぜなら、皆はどうやって叫ぶか、怒るか、困らせるかを知っているから。でも、人権に対するアプローチの中で丁重な気持ちを持って取り組んでいる人は誰もいない。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

一個人として、文化プロジェクトとして数ヶ月For You Katrinaを追っていた。For You Kathrinaはとても素敵な人でいい心を持った人。FYKがパフォーマンスしているしている時のヴァイブは、もうキチガイじみてる。その時のビデオを最前列で撮ったんだけど、私は1階からパフォーマンスを見ていて思わず息を飲んだ。ここMacaoで見た今年のベストパフォーマンスだった。

2018年を象徴するダンスフロアの思い出は？

Panorama Barで初めてプレイしたとき。アイルランドのデリーからはるばる見に来てくれた親戚や親しい友人たちでゲストリストがいっぱいになっていた。そのセットから、とくに印象的だった瞬間を選ぶとしたら、Giusy Dejの "Walking In The Night"のFlemming Dalumリミックスをかけたときかな。たしか朝の8時ごろで、太陽が昇ってきていた。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

個人的にも音楽面でも、2018年は私にとって大きな転機だった。特に音楽活動はかなりの躍進の年になった。今年はこれまで以上にツアーが忙しくなって、2017年にやったギグの2倍以上の数をこなしたよ。絶え間なく移動するなかで、音楽を消化したり、制作したり、セットを準備したり、心身の健康を維持することをきちんと、しっかりと行う方法を見つけていかないといけなかった。とても多くの街でプレイして、たくさんの素晴らしい音楽仲間を作ることができて、最高だった。私が経験していることは他の若手DJも経験していることだし、ありがたい気持ちでいっぱいだけど、そのぶん大変な思いをすることもあったね。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

私は昨年、面白い新進気鋭のプロデューサーたちをいっぱい発見したんだけど、そのうちの1人がユトレヒトのLewskiで、今年の夏に何曲か素敵な曲を送ってくれたの。私の新しいレーベルがローンチしたら、すぐに出す予定。新しいアーティストを発掘して契約するプロセスは本当にワクワクするし、すごくやりがいがある。だから、送られてくるデモやプロモ・リンクをしっかり聴く時間をちゃんと作ることを心がけてる。

2018年を象徴するダンスフロアの思い出は？

トリノのClub To Clubフェスティバルは私にとって大きな一歩だった。なぜなら、大きなフェスティバル・ステージで大胆な変化球セットを披露することができたのが、そのときが初めてだったから。それまでは小箱のときの私と、大箱のときの私で別けていて、実験的なブレイクダウンとか大胆なテンポ変えは小箱のときだけにしてたんだけど、Club To Clubのヘッドブッカーに勇気づけられて、フェスティバルでできるかぎりの挑戦的なプレイをしてみたの。すると思っていた以上にお客さんと共鳴することができて、それ以来、ビッグステージでもそのアプローチをするようになった。このおかげでDJをすることがずいぶん楽しくなったし、大箱のために自分のサウンドをどんどん変えていくという悪習から抜け出すことができたと思う。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

私のやってるレーベル、Kulørはこれまで直感的に運営してきた。毎回チームでひとつの音楽プロジェクトのリリースを手がけてたんだけど、すごく勉強になる反面、自分であまり動かなくていい状況に甘えてもいたんだよね。人と仕事をするのが大好きだし、Kulørはさまざまなアーティストとの親密なコラボレーションを軸としているけど、そろそろ私がプロジェクトのクリエイティブ・コントロールを握って、会社の方向性の責任を背負うときが来たと決心した年になったね。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

今年、私はデンマークのレーベルPetrola 80にすっかり心を奪われた。このレーベルについては、挑戦的な16分のスポークンワードの片面レコードと、クールなローファイEPをリリースしたことで去年から知ってはいたんだけど、最新のレコードを聴いて彼らの審美眼に惚れてしまった。これはOpal Tapesとのコラボレーションでリリースされたもので、Lyra ValenzaというアーティストによるアップテンポなアンビエントUKベースモノなんだけど、今すごくハマってるところ。

2018年のお気に入りの音楽的瞬間は何でしたか？

Berghain Kantineで近しい友人が手術費用を捻出するためにパーティーを企画した時の事。彼女のコミュニティー界隈からバラエティーに富んだ出演者達が顔を揃え、短いパフォーマンスを披露し、ただならない魅惑的な空気が漂っていた。その夜の祝祭的な雰囲気に僕はとても感動して、多くの人々が一つの目的のために力を合わせている姿に自分勝手ながら僕自身が勇気付けられた。物事を難しく考え過ぎることが多いので、なんでそもそも音楽が自分にとって大事なのか、こういう折に思い出させられる。そして、そんな時の音楽の魔力は絶大だ。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

音楽がその辺境で直面している数々の問題について、僕にとって大切なコミュニティーの周辺で適用可能な解決策や協力者を寄せ集めようと、何百時間もかけて尽力してきた。だが、この時点で言えるのは、事態は好転する前に、いったん最悪を見るだろうということ。苦い薬のようなものだ。

一番辛いのは、僕の立場がいつでも、人々が聞きたくない事を指摘する役割だという寂しい事実。例えば、僕が会うのは、お金はあるけれども、究極的には音楽の持つ可能性を信じていないビジネスマンたち。それから、コピーライトが音楽業界の未来を救うという様な時代遅れの前提で物事を考えているシンクタンクにも接触する。旧態依然の仕組み作りのために、デジタルスペースでの重要なインフラ構築をサポートできない公立助成財団とも話をする。年々その文化への貢献度が減りゆく著名な文化財団の相談にも乗っているが、彼らは大胆なアクションを起こすための十分な資金あるいはIT関連での経験が不足している。何十年もアップデートされていない原始的なモデルや言説を前提に活動しているアンダーグラウンドなコミュニティとも話をする。根っこの部分では皆の応援者で居たい性格だから、口苦い事を言うのは大変だよ。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

たくさんありすぎる。元々力強かったSimone Bertuzziと Simone TrabucchiによるInvernomutoというプロジェクトは更なる成長をみせた。上海のAll Clubとそれを支えるコミュニティー。Zuliとカイロのシーンの盛り上がり。Nyege Nyege Festival。Michaela Meliánの活動。Arc Light EditionのSalmというシリーズ。Brockhampton。Rosalía。それからHi-NRGの音楽に惚れ込んだ。10代の子達の音楽の現状への造詣の深さと想像力の豊かさには驚かされる、僕らの世代の99%の者よりも秀でている。それから今年はクリプトグラフィーのプロトコルに関連したパーティーの成功をいくつか目の当たりにした。Holly [Herndon]と僕の活動で言えば、何百人もの人々に僕らの作ったAIの赤子に歌いかけるようにお願いし、なんと歌い返してもらう事に成功したよ。 

2018年を象徴するダンスフロアの思い出は？

色んな街のシーンを観てきたわけではなく、必然的に僕はひとつの特定のクラブに縛られていたわけだけど、だからこそBassianiでのPosh Isolationのショーケースが挙がってくる。Damien Dubrovnik、Croatian Amor、それからThe Empire Lineのライブセットは断トツで今年のダンスフロアの最も印象的で貴重な瞬間だった。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

グルジアではブラックフライデーとして知られる事となった5月12日の事件と、それからグルジアの公的機関や政治に関するいろいろな問題だ（訳者注：重装備の警官がBassianiを含む複数のクラブで大規模なガサ入れを行い、約60名の逮捕者を出す事態に発展したが、当時保守政党が反対していた薬物事犯の軽犯罪化に関する法案可決を阻止する事を目的とした不当なガサ入れであったと一部で批判されている）。起きた事について今でも時々実感が湧かないし、簡単に話すことのできる問題でもない。複雑だけど、グルジアの若者たちにとってより良い未来と環境が早く到来することを願うばかりだ。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

これと言って一つの発見を取り上げるのは難しいけど、2018年は印象的な年だった。Yves TumorのWarpからのLPリリースは特筆に値するだろう、Nicolas Nicolas Jaar、Arca 、Forest Swordsといった近年のエレクトロニックミュージックのエリートの仲間入りを果たしながら、常に最高の品質を保ち限界を広げてきた。Vril、Shinichi Atobe、Delroy Edwards、Demdike Stare、Francis Harris、Leon Vynehall、Objekt、Pariah、Skee Mask、それからVargといった既に著名なアーティストたちからの安定のアルバムリリースが続いた年でもあった。新しいDadubのEPは、オリジナルトラックを2つ含み、この素晴らしいテクノプロジェクトの5年に渡る空白期間を埋めるに値する内容だった。グルジアの音楽シーンに関して言えば、MasterknotのアンビエントLPは必聴だ。そして最後にとっておき、DJ Healer / Prime Minister Of Doomとして知られるアーティストの飛躍は見ていて快感だった。レーベルで言えば、PAN、Dark Entries、それからтрипのリリースがよかった。

2018年を象徴するダンスフロアの思い出は？

とある月曜の午後に南フランスに到着し、その３時間後にCercleのために息を呑む様なロケーション、ローマ時代の円形劇場でプレイする予定だった。オランジュという街で、明らかに何時間も降り続けていた雨を目前に僕たちは愕然としていた。野外イベントのため、中止になる可能性があったのだ。Cercleと僕らはこのイベントの実現のために1年以上費やしてきたので、心配したのも当然だ。

僕が円形劇場に到着した時、雨は激しく降り続いていた。劇場の中を少し視察して回って、一番高いポイントに来た時に、マリア様像を見つけ、そして悟った。僕は信心深いからね、これで万事休すと思ったわけだ。そして、その通りになった。僕のプレイ時間の5分前にそれまで激しく降っていた雨は止んで、空には虹がふたつかかっていた。特別な場所だったのもあり、観客はとても感化されていた様子で、僕にとっても特別な夜となった。2018年のお気に入りのダンスフロアモーメントだ。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

僕の最初で唯一のアルバムがリリースされたのが2009年。それ以来、毎年の課題がセカンドアルバムのリリースのために、なんとか音楽制作の時間を割くということだ。ツアーで忙しいため、時間がなかなか取れない。妥協策として、リミックスや折にかけてEPをリリースすることに注力して来たが、ここ2年ほどは次のアルバムに含めることを念頭にトラックのアイディアを貯めてきた。2019年はファーストアルバムのリリースから10年目になるので、セカンドをリリースするのに良い節目かなと思っている。さてどうなるかな。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

Alexander Ridha別名Boys Noizeとはもう20年来の付き合いになる。僕らは2人ともハンブルグ出身で、彼は17歳の時に初めて、当時ハンブルグで一番のゲイパーティーが毎週日曜日に行われていたLa Cageというクラブでレジデンシーを持つことになった。その当時のプロモーターがAdriano Trolioで、僕のDiynamicでのパートナーだ。レジデンシーから数年後、彼はBoys Noizeとして名を馳せるようになり、特異な音で、数々の著名なアーティストとコラボレーションをするようになった。ある日彼が、「君のことを考えながら、このトラックを作ったよ」と言って新しいトラックを送ってくれたんだ。あまりにも素晴らしいトラックだったので感激したよ。Diynamicから、彼の別名義ELAXとして、一緒にリリースをしたよ。彼とのコラボレーションは今後リリースやイベントを通じて続けていきたい。

2018年を象徴するダンスフロアの思い出は？

Justin Aulis LongとInterstellar Funkと一緒にDe Schoolでプレイした時。とても良い時間を過ごしたわ。そうした夜は、長いツアーの中のハイライトね。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

2018年と2017年は私にとって挑戦の年だった。ストレスやツアーに関連する健康問題を克服するために、たくさんの変更を自ら行ったり、個人的な作業をしなければいけなかった。全部の約束を守って、2018年は全てのブッキングでプレイできたことを本当に嬉しく、誇りに思ってる。自分の身体が何を言っているのかに耳を傾けて、意識を高めるべく精神を鍛え続けることができれば、この仕事をやる続けられるという自信が今はある。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

シカゴのサイケデリックドゥームメタルバンドのREZN。彼らのアルバムは、フライト中にずっと繰り返し聴いている。

2018年を象徴するダンスフロアの思い出は？

10月にColchester Arts CentreがObjects Ltd.ナイトをホストした時のこと。Yewande AdeniranがIfeoluwaとしてDJしたセットはまさにネクストレベルだった。技術的にも完璧で、踊らされたし、笑ったり歌ったりもした。とてもエモーショナルなジャーニーで、私はそのためにそこにいたのだと感じた。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

今年は、アーティストとして、レーベルオーナーとしての自分にとって紆余曲折あった年だった。Objects Ltd.は今年2つのみのリリース（Rui HoとEdge Slayerの作品）だったけど、新しい何人かのアーティストがPlanet Muと契約できるようにずっと動いていた。この音楽業界にいるのは疲れるけれど、日々私にやる気をくれる、本当にたくさんの有能で素晴らしい人たちがいるからね。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

ジェンダーを掘り下げる手段の一つとして声を使う、トランスジェンダーのミュージシャンに関する記事を読んでいて、その中のEdge Slayerに吹き飛ばされたの。Edgeはジェンダーとセクシャリティーを探求したパフォーマンスをしている、ニューオリンズのLGBTQ+シーンにとって欠くことのできない存在。彼女はトランスウーマンの人たちにとって安全なスペースを提供するイベントを開催していて、黒人女性にフォーカスしたパーティーSéancéもそこに含まれている。その記事を読んですぐにEdgeと話す機会があったんだけど、彼女はObjectsにバッチリ合うとわかっていたから、私たちはすぐに意気投合した。彼女の陰気で感情のこもった歌と、むき出しで興味深いプロダクションに、私は完全に魅了されてしまった。その数週間後、彼女はレーベルと契約した。

2018年を象徴するダンスフロアの思い出は？

こんなに長い時間をダンスフロアで過ごしていると、たった一つに絞るのは難しいけど、その中でも別次元な瞬間はいくつか覚えている。そんなに前の出来事ではないんだけど、Resident Advisorと企画した24/7パーティーでのVideo Clubの昼間のメインフロアは魅惑的だった。それと、年始にサンフランシスコのHoney Soundsystemのパーティーでプレイした時のこと、このパーティーでのエネルギー量は沸点を超えて爆発していた。それからVideo ClubでのLena WillikensとVladimir Ivkovicのプレイは、まさに耳で味わうLSDといったところか。どうやってのけたのか、変態ワームホールにどっぷりオーディエンスを引きずり込むことに成功していた。おそらく、途中から参加した者にとっては、理解するのに苦しむ音だったろうと思う。

あと忘れてならないのが、Sustain-ReleaseでのDJ NobuとEris Dのセットだ。そして最後にとっておき、Honcho Campout 2018というパーティー。あそこで起きていることは、想像を超えてくる。強いコミュニティーの繋がり感と、表現者のための場だということは言える。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

いいことも悪いこともたくさん起きたジェットコースターみたいな一年だったけど、そうやって学んで成長するんだろう。中南米の国々での政治、経済、汚職の実態は、特にアンダーグラウンドな文脈において、がっかりさせられる。でも最終的には、製作に対する熱意があって、シーンに貢献する努力を惜しまなければ、報われてお釣りがくるようなものだ。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

今年幸いにも目の当たりにすることができ、一緒に共作することができたコロンビアの数々の新鋭たち。たくさんのローカルアーティストが、自分たちの音楽を表現するために並並ならぬ努力をし、自分たちのメッセージを届けるために時に非常に少ないフィーでプレイしている。コロンビアには、素晴らしい音楽史がある。そしてそれは終わるところを知らない。

2018年を象徴するダンスフロアの思い出は？

デトロイトのClub Toilet、特にその終わり。新進気鋭のクウィアーDJやクラブの内外に飾られたChad Wentzelのアートインスタレーションだけでも素晴らしい一夜だったのだが、Jason Kendigが最後の最後まで観客を踊らせる完璧なバランスのプレイをした。朝日の中、DJ、業界人、それからギリギリの疲れ顔をしたビッチ達まで、フリークスやダンサーと一緒になって汗だくで踊っている様子に見惚れてしまったよ。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

ロサンジェルスで、ダンスイベントを特別なものにする方法を模索すること。この街で、僕たちがやりたいと思っているようなイベントをプロデュースしようと思っても、障壁が次々と現れる。クラブの営業時間に関する法制緩和の法案が知事の拒否権行使で阻止されて、一時的な許可証の発行も街全体規模で一旦停止されている。許可を得た適法なクラブで行なったイベントですら、騒音苦情で警察に止められてしまった。しかも昼間のイベントだ。こういう事態を避けるべく、法の目を掻い潜って秘密でパーティーをしようと思っても、アンダーグラウンドを企業化してマネタイズしようとする新しいビジネス集団のおかげで、本当にインディペンデントなパーティーというのが苦戦を強いられている。この新しいビジネスは、ベニューからマーケティングまでワンストップで提供し、聞こえは便利そうなのだが、音響の品質やプロダクション自体がお粗末で、おまけにこうやってパーティーをパッケージ化してしまうことで、どのパーティーも似たり寄ったりになってしまっている。こうした低品質なプロダクションのおかげで、オーバーグラウンド、アンダーグラウンド共に、人々のパーティー離れが起きている。ロサンジェルスでの夜間営業の非犯罪化と24時間パーティーカルチャーの推進のために結成されたナイトライフの草の根活動の一員として僕も一翼を担っている。これから事態を好転させられるといいなと願ってるよ。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

ロサンジェルスで1989年から1993年にかけて毎週日曜夜に開かれていたアンダーグラウンドS&Mインダストリアルクラブ、Club Fuck!のプレイリスト。

2018年を象徴するダンスフロアの思い出は？

あぁ、おそらくSustain-ReleaseでのJosey Rebelleのクロージングセットだね。みんな泣いてたもの。あのセットのせいで私はJD Rashadにどハマりした。Josey Rebelleは最高のDJ。彼女に匹敵するほどの音楽知識を持った人なんてそうそういないし、彼女はどこのフェスティバルでもヘッドライナーとして扱われるべき。あとはイースターウィークエンドのBerghainで、仲良しのJuliana Huxtableと一緒にVolvoxのマジカルなセットで踊った時かな。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

ナイトライフの中で活動を続けながら、精神的、肉体的健康を損なわないように調整すること。

Bossaのブッキングを担当するようになったことは大きな挑戦の一つだったけど、大きな恩恵の一つでもあった。自分がどれだけこの仕事をしたいのかも正直よく分からなかったし、夏頃はたくさん失敗もした。大変だったけど、トラブルを解決したり、面白いスペースを育てていくことに大きな喜びも感じた。一番大変だったのは、アーティストへの支払いに対し、新しいヴェニューからものすごく低い金額を提示されたこと。でも、そういう真実があっても私たちは落ち込まない。逆境に負けずに、もっとクリエイティブになって、もっとたくさんの人に私たちの魅力を知ってもらおうって思える。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

最近は友人たちの音楽もメインストリームのレコードもたくさん聴いている。

『Carter V』は私にとって、今年一年の中ですごく記憶に残るアルバムだった。このアルバムは、Lil Wayneの自身のキャリアに対する考えと、彼の選択、そして自分自身に対して批判的であることを反映しているという点で、とても奥が深いと思った。

新しい音楽ではobject blueが良かった。Tobago Tracksからの彼女のリリースが大好き。それと彼女は、私が今年出会った好きな人のなかの一人で、この音楽シーンに対して大きな愛を持っている、とても優しい人。

Jasmine InfinitのClub Chaiからのレコードも悩むまでもないね。Jasmineは長年切磋琢磨している人で、彼女のミックスやプロダクションはいつも期待を裏切らない。今一番先駆的なレーベルの1つだと私は思っているClub Chaiに、彼女は完ぺきだったと思う。

Russell E.L. ButlerのLeft Hand Pathからの最新作も素晴らしかった。今まで見てきた中で最高のライブセットの1つだったし、彼らのプロダクションも同じくらい最高。

2018年を象徴するダンスフロアの思い出は？

私個人の中でとても決定的だった一番のダンスフロアでの思い出は、Movement Detoroitの週末にClub Toiletに出演した時のこと。Hot Massボーイたちはいつもとてもよくサポートしてくれていて、その時はRussell E.L. Butlerの前、In Training（クリーヴランド拠点のクィアパーティー）のDJたちの後っていう最高のスロットを用意してくれた。私の出番になる頃には、フロアは既に生き生きと呼吸し、汗の滴り落ちる箱になっていた。アメリカのダンスミュージックの中でも、2018年最も素晴らしかった影のヒーローたちの間にプレイするっていうだけで、もうとても大きな意味のあることだったけど、お客さんからあれほど熱烈なレスポンスをもらえるなんて想像すらしていなかった。みんな私のセットの間、めちゃくちゃ夢中になってくれてたし、私がどんな方向に進んでも付いてきてくれた。オーディエンスとあれほど完全にコネクトして、彼らが私が出す全てを楽しんでくれていると感じられるのはとても希。

夢みたいだと思った一番の瞬間は、ブースで顔を上げた時に、私がずっと大好きなアーティストの1人のTitonton Duvanteが、私がかけていたやんちゃなエレクトロとベース、ブレイクスの曲で興奮して、めちゃくちゃ踊りまくってた姿を見た時。その後本人と話したら、今年のMovementウィークエンド全体で一番のセットだったって言ってくれたの。

今年はあちこちを旅して、ヨーロッパ、オーストラリア、アメリカのベストクラブのいくつかでプレイできてとても光栄だった。いつもうまくいくとは限らない。オーディエンスとウマが合わない時もあれば、テック面やサウンドの問題がある時もある。ベストのプレイができない時だってある。そういう夜を振り返ると、良い夜も良くない夜も、またClub Toiletみたいな瞬間を求めて頑張ろうって勇気をもらえる。

私が見た今年のベストセットで言うと、Berin Atonalで見たSkee Maskが一番のハイライトだった。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

2018年で一番苦労したことは、私にたくさんの楽しみを与えてくれたことでもあったかな。今まで以上にツアーをしたことと、詰まった旅程の中で必要になってくる全てのもの。主には、ツアーを続けながらどうやってスタジオでの作業時間を作るか。私は制作のアウトプットをサボれるようなところまでまだきていないし、常にツアーをするのではなく、制作について学ぶべきことがまだたくさんある。そのバランスの取り方を習得しているところ。ツアー中の健康を保つことも（肉体的にも精神的にも）、より多く旅するようになって苦労したことの1つ。ツアーを終えるごとに見直している。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

全部が2018年に作られたものだったり、2018年に発見したものではないけれど、以下の音楽は今年、私に一番強い衝撃を与えてくれた。is / wasっていうレーベルの全ての作品、特にTeakupのリリースと、Pauline Anna Strom、upsammy、Jus' Trax、Klon Dump、DJ Who、Escape Earth、Rainbow Bridge、Glass Talk Records、Silverlining、Derek Carr、後はFlora FMの未発表曲全部。

2018年を象徴するダンスフロアの思い出は？

今年のUnsound KrakowでのSho MadjoziとDJ Lagのセットだね。Sho Madjoziは南アフリカのラッパーで地元では人気急上昇中だけど、ヨーロッパでのショーはあの時が初めてだった。フロアはほぼ誰もいない状態でパフォーマンスが始まったんだけど、数分もしないうちに満員になって、熱狂していったんだ。DJ LagとSho Madjozi、リンポポ州から来た2人のダンサーも交えて盛り上がったね。全ルールが崩れた、ラップとゴムとダンスの楽しいコンビネーションだった。時にダークで、ラフで、LagはBenny Benassiの"Satisfaction"を途中投入したんだが、それがうまくいったんだ！あれほどのエネルギーを感じるのは稀だったよ。正直、現代のほとんどのダンスセットが退屈に感じるほど、パンクレベルですごかった。

それと、UnsoundでのRabit、House Of Kenzo、ビジュアルアーティストのSam Rolfesをフィーチャーしたショーにも言及したい。ダンスフロアでの出来事だったかって？何とも言えないけど、クラブではなく劇場でやったんだ。エクスペリメンタルと脱構築したクラブミュージック、ダンスホール、ボーギング、ビデオアートの過激な衝突で、素晴らしかった。ビジュアルアートショーの全ての概念を覆していたよ。

今年、一番苦労したことは何でしたか？

影響力がありユニークな音楽フェスティバルを作ることだね。そのどちらも、この世で成し遂げるのが一番簡単で一番難しいんだ。簡単な理由は、プログミングにリスクを取らないフェスティバルはたくさんあるから。難しい理由は、とりわけヨーロッパには本当に多くのフェスティバルが存在するからね。飽和状態に達しているよ。今は世界的な企業が、その前例となった従来のフェスティバルに資金援助するのではなく、自分たち自身のフェスティバルを始動している。課題は、この世界でどうやって意義のあるフェスティバルであり続けるか？だね。その答えは明らかで、よりリスクを取ること。だけどそのリスクがどうあるべきかは、いつも明白ではないんだ。とくに、これまで以上に音楽が溢れてきている中で、自分の道を歩んでいく時はね。

2018年の最も印象的だった音楽的な発見は何でしたか？

2017年に僕たちはNyege Nyege関連のOtim Alphaをヨーロッパに初めて呼んだ。彼のショーは素晴らしく、その時一緒に来ていたNyege NyegeのArlen DilsizianとDerek Debruと友好関係を築いたんだ。その時以来、そのフェスに行こうと決めて、今年実際に行ったんだ。じかのNyege Nyege Festivalでの体験は、何とも例えようがなかったよ。既にたくさんのアーティストを知っていたし、遠くからそのシーンをフォローし続けていたけど、実際にウガンダのそのフェスティバルにいると、伝統的な東アフリカの音楽から今のエレクトロニック系の音楽に至るまでの"音楽"と、その雰囲気の両方にとてつもない刺激を受けた。フェスティバル、レーベル、そしてカンパラにあるレジデンシーとしてNyege Nyegeのチームはとても重要な仕事をしていると思う。Slikback、Kampire、Bamba Pana & Makaveli、MCZO & Dukeといった素晴らしいアーティストをサポートし、国境を超えたコラボレーションを実現し、おおかた長期的なビジョンを持っている。現在、最も興味深い音楽的課題の一つにもつながっている。

2つ目は、全く異なるんだが、現在進行中の発見であるThe Caretakerの『Everywhere At The End of Time』。そこでの注意力が欠陥している瞬間は奇跡的だ。認知症になっていくアイデアを音楽的なフォームへ落とし込んだ、3年にわたってリリースされる、合計約10時間分の音楽を収録したアルバム6部作。もしかしたらこのプロジェクトのスケール感が、音楽メディアが同作を大きく見落してしまっている理由かも？それなら間違っているよ、なぜならそれがとても特別なものにしているからね。Caretakerの前のアルバムと同様に、初期作品のループして頭から離れない音楽は、一見シンプルに聴こえるけど、実は全くそうじゃない。このシリーズが導くところは、驚き、悲惨さ、そして美しさなんだ。V/Vm名義でも活動するこの男Leyland Kirbyは、結果的に驚くような音楽を作るが、一方で、それもどこか腑に落ちるんだ。来年、最終作が出で、彼がどのようにこのプロジェクトを完結させるのか楽しみにしている。

まだ他にも発見はある、もちろん。ここに載せるにはたくさんありすぎる。2018年は音楽界にとって興味深い年だった。これまでになく、地理的にも社会文化的にもエッジにいるアーティストが、状況を混乱させ、何か違うことをしていると感じた年だった。